20101030復刻版 りらくしん(世田谷区)、小ラーメン、チャーシューダブル

RDBの古い投稿を少しずつアーカイブすることにした。開業当初に訪れてみた。当時と現在とは味は違うと思うが、こういう試みは大事だと思っていた。チャーシュー増は今はないようである。今でも人気店なのは嬉しい限り>

<参考までにオリジナルの投稿:https://ramendb.supleks.jp/review/297208.html

10/30/10

◆孤高の豚山(豪徳寺ラーメン、世田谷)

午前10時の段階で、すでに台風14号の暴風雨圏に入った。

それでも今日の登山を決行することにした。

登山回数の減ったM氏にとって、今年4回目位の登山である。

目指す山は豪徳寺に突如現れた、謎めいた独立峰だ。

11:30に営林署入り口に到着。

開店時間を間違えてしまった。

ちょうどご主人が店に入られるタイミングで、聞いてみると、

店内で開店を待たせていただけることになった。

ありがたい。

この寒い雨の中で30分はきついぞ。

同行のB氏と談笑して待つことしばし。

確かに席数は極端に少ない。

それでも、自分がいかにもマニアになった気分を味わえる空間。

注文の時間だ。

連食の可能性を残して、小(300g、2玉)をお願いする。

なんか寂しいので、お母さんに聞いてみる。

『チャーシューダブルで300円分お願いできますか?』

やや苦笑いぎみではあるが、了承されたようだ。

野菜もダブルと言ったつもりだが、これは通じなかった気がする。

おお・・久しぶりに見る豚の山。

野菜山の周りを取り囲む12枚の豚達。

なかなか精悍な眺めだ。

黄色味を帯びた麺を従えたこの山、見慣れない光景に戸惑いを覚える。

人を幻惑させるビジュアルだ。

小ラーメン、チャーシューダブル:

http://photozou.jp/photo/photo_only/286324/256959836?size=900#content

http://photozou.jp/photo/photo_only/286324/256959884?size=1024#content

まず麺に飛びついてしまった。

うん。

これ、いいじゃん。

Jの麺、どれだけ食べたか忘れたが、Jと違う味がすごくいい。

いくならんでも、量を含めて食べすぎたので、Jの麺の加水状態と違うのがうれしいようだ。

スープを飲んでみる。

やはり醤油がキレてる。

こういう太い麺を醤油で食べるのは、けして悪いものではない。

日本的でいいじゃないか。

非乳化の豚骨スープは、乳化タイプと少し違うコクがよい。

背脂の量はけして少なくは無いが、乳化されていない背脂の方が脂のクドさを感じさせにくい。中華の油脂類と同じ理屈だ。

旨みは肉からのものだろう。これはしっかりした旨みであるが、やや醤油の刺激でマスキングされている。

甘みは味醂中心だと思う。

この味は唐辛子とよく合うので、少しかけてみた。

ニンニクのチップと長葱の揚げたものも、この味にピッタりなので少し驚いた。

全体に醤油がカライので、野菜を増すのが必須だと思う。

麺は黄色いが、これは多加水の黄色とは違う可能性もある。

いい加減な予測では、茹でたては白く、カエシの中で急激に染色されたような気がする。違うかもしれないが。

加水自身は中位といってもよいかもしれない。

ややスープを吸いやすいようだ。

モチモチではないテクスチャーの麺。腰も十分たっている。

この麺の味で惑わされること必至。

さて、12枚の豚くん。

脂身の部分があると、トロトロしているが、腕肉であろうか、

少しスープに貢献しすぎて、お疲れのようだ。

味付けは薄いのがよい。

これは強制的に少ないスープに漬け込んで食べるといい。

肉を12枚食べるには、あまり脂系でジューシーでないほうが良い。

バサといって嫌われるが、バサだってリッパに豚君だったのだ。

その分、スープに感謝しないと。

もし、関内並のバラ肉のうまいチャーシューを12枚食べたらどうなるでしょうか?

これ、結構、応えるのです。

ここでご主人が厨房から現れ、

『味、濃くないですか?』なんて、聞いてくれた。

『野菜とか肉を漬けて食べられるので、ちょうどいいですよ』と、

答えてみた。

残ったスープはやや白濁しているが、これは麺から小麦が溶け出したためのようだ。

これは加水が低いとなりやすい気がする。

お隣の麺少なめのスープはぜんぜん濁ってないぞ。

やっぱり麺の量の影響もすごいな。

こういう料理は、麺の量、汁の量、野菜量、肉量の組み合わせで、別物になる可能性がある。

汁の状態を予測して、麺量(食べきるスピード)、トッピング量を調製する必要がある。

私は味薄め方向にしたいので、野菜を乗せてもらい、丁度良い野菜量まで食べてから混ぜ込むようにしている。

味は自分に合わせていくしかないだろう。

それが楽しみだと思う。

醤油、背脂、味醂、豚骨のコク、肉出汁。

これらが融合した味だが、仕上がった作品のバリエーションはかなりあるものだ。

buriburi殿が『偏屈おやじのラーメン』と表現されていたが、

まさにその通りで、世田谷らしくてよい。

同じく偏屈なオヤジとしては、応援したくなる気持がこみ上げてくる。

このお店もきっと味を変えていくと思うが、豚の量だけは減らしてほしくないな。

ケチケチしない精神こそ、Jの精神で、これを楽しむのが一番の目的だからだ。