ドクロのおばさん

シールではなく、おばさんの右肩に見事なドクロの刺青が彫ってあった。初めて本物の刺青を見た。ドクロが黒と光っている。俺はビビッた。凄く怖くなった。

お兄ちゃん、一つじゃけぇ一つ?何のことだ?

はい、わかりました!とにかくドクロが怖い。

お兄ちゃん、一つじゃけぇ命懸けのセックスだ。

はい、わかりました!本当はよくわからないが。

一つだけを思ってよ

はい!

一つじゃ

はい!

一つじゃ

はい!

一つじゃ

はい!

一つじゃ

はい!

一つじゃ

はい!

一つだけ思いんさい!

はい、わかりました!

俺は無我夢中になってドクロのおばさんとセックスした。

アッ!

どうや、兄ちゃん、男になったねぇ

放心状態の俺。おばさんはティッシュで俺の身体をキレイにする。そして、ベッドから俺を洗うために浴槽へ連れて行こうとする。ドクロのおばさんの身体は後ろから見たらよぼよぼにたるんでいる。

姫に俺の筆おろしを話し終え、あんなこともあったなと一服吸う。

ふーん、意味深いお話

うかい?俺は今でも、一つの意味がわからないよ

思うにソープで見知らぬ男と一日も休まず三百六十五日、毎日働いている、セックスしている、あのドクロのおばさんこそが、一つなんだと私は思うわ。二人が一つになると姫は言った。俺は姫の言葉に心臓がえぐられるような気がした。姫の本音を聞いたようで、嬉しいような、悲しいような、なぜだかわからないが、ドロドロとした川が俺の心の中を流れていくような気持ちになった。

私がいくら頑張っても、あなたのドクロのおばさんにはなれないわ

それって、喜んでいるの、悲しんでいるの?

残念に思っているのよ。ドクロのおばさんは、あなたの一生のあげまんなのかも知れない。女として負けたわ

ドクロのおばさん、今もセックスしているのかな?流石にもう無理か。年だもんな。もしかしたら、大変失礼だが、もうこの地球上にいないかもしれない。右肩の黒と彫られた刺青。そして、童貞喪失、俺の筆おろし。あの日は俺にとって、チェリー記念日。今となっては何か懐かしいなァ。褒め殺しではなく一つ殺しだったなァ。まさに一つの連呼だった。あの日、ドクロのおばさんがお兄ちゃん、お金持ってないの。一万八千円でいいよと貧乏人の俺に言わなければ、何も起こらなかった。

あァ、ドクロのおばさん、あなたはきっと、俺が生き続ける限り永遠に俺の心の中で生き続けるであろう。なぜなら、俺達は、あの時一つになったから。