中学生の頃は毎日不登校の子の家に寄るのが日課だった。家が単に近くて帰り道にあったのと、手紙を書くのが好きだった。毎日玄関のチャイムを鳴らし今日の配布物と手紙を渡し、今日の出来事と渾身の一発芸を披露する。笑ってはくれない。雨の日だと尚更。あまり気にせず、私のエゴで毎日続けていて習慣化していった。その子はたまに自身の好きな歌の歌詞を印刷して私にくれる。家に帰り、歌詞に目を通して重たいパソコンを立ち上げ、YouTubeで検索して聞いてみる。耳には残るが忘れていく。作業のように聞いていた。大体が歌詞が暗い電子音の曲だった。母は嫌がっていた。私は特に何も感想も無かった。ベタな恋愛ソングでも無ければノスタルジー溢れるj-POPでも無い。そんな記憶があった。久しぶりにネットで流行っている曲をYouTubeで検索して聞いたらその子が昔くれた歌詞の曲だった。懐かしい。耳が鮮明に覚えている。タイトルも印象的だったから覚えている。それがハチのマトリョシカだった。